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a・iコラム No.1

あなたは、自由な患者さんです!

皆さん、こんにちは。櫻堂渉です。2月に雲母書房より「透析は人生の足かせじゃない!−透析患者の課外授業−」(書籍のページへリンク)という本を出版しました。もうすでにお読みいただいている方もいらっしゃると思います。そして、いろいろな感想をお持ちになられていることでしょう。私がこの本で最初に申し上げたかったことは、“あなたは自由だ”ということです。あなたは自由です。ですから、透析の医療、透析の医療機関、透析の機械に縛り付けられてはならない、ということを皆さんにまず申し上げたかったのです。

アメリカと日本の透析の差に愕然!

私はこれまで医療コンサルタントとして過ごしてきました。あるとき、アメリカの医療機関に接するチャンスがあり、アメリカのクリニックを見て、私は愕然としたのです。どういうことかと言いますと、まず患者さんがとても生き生きしているのです。そのクリニック全体の雰囲気、そのクリニックを構成している雰囲気、これがものすごく明るいのです。日本で言えば例えば、ヘアサロンやエステティックサロンのイメージを頭に思い浮かべてください。透析のコンソールの脇にあるベッドが全部チェアー型です。患者さんはチェアーに座って、お隣同士談笑したり、音楽を聴いたり、ビデオを見たり、雑誌を読んだり、そういったことで皆思い思い、自由に過ごしているのです。スタッフはというと、きびきびと働いて、いつも笑顔です。どうでしょう。こんな世界があったのだなと本当に思いました。

フォーカスの差が違いを生む

一方日本の透析医療の現場をみると、暗い透析室、ベッドとベッドの隙間もあまりない、しかもベッド。パジャマに着替えて患者さんは横たわる。そこで穿刺がはじまって透析が開始されます。その間、なんとなく冷ややかな空気が流れる、もちろん静寂があるのはいいことかもしれません。そんな状況です。スタッフはというと、医療者ですからそれほどフレンドリーには接してはくれない。そして、透析が終わると肩を落として、頭を下げて透析室を出て行く。つまり、患者さんの透析を受けた後の状況、この差に実は愕然としたのです。もちろん、インテリアやハードウエアーやスタッフの対応にも驚きましたが、何でこんなに差がうまれるのだろうとこう思ったのです。この差、これを形作っているのは、もちろん医療提供者側つまり、病院の院長、スタッフ、この方々が最大限患者さんにサービスをしようというところから生まれていると思いますが、日本の医療、特に透析医療においてはむしろ患者さんという視点よりは、きちんと医療を行うことが最善の医療であるというそこの1点だけにフォーカスがされているような気がしたのです。透析医療のこのような差ですね。この差を目の当たりにして私は愕然としました。

透析に向き合う気持ち、考え方を変えてみよう!

この差はどこから生まれてくるのか、もちろん施設の差とかシステムの差はあります。これを否定はしません。ですが根本にあるのは、透析と向き合う精神、透析に対峙する気持ち、ここに重要なキーがあると私は思ったのです。透析医療が先にあるわけではありません。あなたの人生が先にあります。透析があなたの人生の全てではないはずです。透析の前にあるのは、あなたの人生であり、あなたの夢であり、あなたの仕事であり、あなたの趣味であり、あなたの家族との関係があるはずです。ですからあなたの人生、あなたの夢、あなたの仕事、あなたと家族との関係、家族との幸せ、こういうものを達成するための手段の1つに透析があると理解すべきだし、もしそうでなければ、こういう位置づけにぜひ変えるべきなのです。つまり、あなたが透析に立ち向かう、もしくは透析との関わり、考え方を変えることによって、あなたの人生、あなたの夢やあなたの仕事やあなたの趣味やあなたの家族との幸せな関係、これを変えることができるし、手に入れることができるはずです。

ぜひ、皆さん透析と向き合う気持ちを少し変えてみてください。そうすることで、あなたの人生がもっと豊かになることでしょう。

それでは次回またお会いしましょう。


医療経営戦略研究所
所長  櫻堂 渉
【プロフィール】
慶應義塾大学院経営管理研究科修士(MBA)修了
1987年システム総合開発研究所(旧病院システム開発研究所)技術統括部長
1995年バクスター株式会社 医療経営研究室 室長
2001年医療経営戦略研究所 所長
2002年日本医療経営学会評議委員
2004年日本透析医会 顧問就任
2005年厚生労働省 医療技術に関する調査研究「在宅療法の普及及び技術評価に係る調査」実施委員会 委員
【主な著書・文献】
「透析は人生の足かせじゃない!−透析患者の課外授業−」(雲母書房)
「透析医療と経営−業界構造分析ー−」、「透析医療の経営環境変化−米国の分析と日本予測−」、「わが国におけるハイテク在宅医療の将来」、「日数の短縮と医療機関の行動選択」など多数
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